CIROイズム・私たちの原点について

history

GINZA CIRO は創業から61年がたち、ここ銀座の地に出店してから半世紀以上の時を超えて、多くのお客様からご愛顧を頂戴してまいります。
 創業者 ヨシダ・シローは、大正12年生まれの御年96歳。今日も元気にサロンへ顔を出し、現役世代のわたくし達は、今尚〝シロー先生〟から薫陶を受けている次第でございます。

昔々、上野御徒町といえば世俗文化の発信地! いまでいうなら原宿表参道といったところでしょうか、この上野御徒町に店を構える“髪結い床”の七男として、ヨシダ・シローは誕生しました。本人曰く『父親はお弟子も多く、腕のいい職人だったが、なにせ宵越しの金は持たない典型だったので、家は貧乏の〝乏〟の字がないくらい貧乏だった!』とこと。それでも、最新のモノやコトが目の前をひっきりなしに飛び交う下町文化の中で育った彼は、少し足を延ばせば日本橋や銀座といった街の風情も目にしつつ、人生の根幹となるファッションへの感性を形成したのだと思います。

負けん気はひと一倍強くとも、幼少期からの虚弱体質で鶏ガラのような体型のヨシダ青年でしたが、それでも戦況があやしくなりだすと、甲種合格で徴兵され大陸へ赴任します。幸運だったのは一度も実戦を体験しなかったこと。そして不幸だったのは終戦より2年以上をシベリアに抑留され生死の境界線を体験したこと。そしてやっとの思いで復員兵として帰国。

 戦後、まだ1ドル360円 国外ドル持ち出し制限のかかる時代、ヨシダ・シローは単身渡仏します。生涯の師となる恩師ジャン・ユーゴー先生のもとへ弟子入りしたのです。師のサロン(フランスParisオランジェリー通り)で修行を積み、遠くフランスの地で遅咲きの青春を謳歌した吉田シローは、パリ国際グランプリで優勝を果たします。大会史上初の東洋人の優勝でした。このニュースは高度経済成長を迎ようとする日本に明るいニュースであったようで、新聞やNHKをはじめテレビや雑誌などでも広く報道されることとなりました。

1957年 渋谷の道玄坂上に最初の店を『シロー』出店。そしてその10年後の1967年、現在の本店となる『シロー 銀座店』をオープンさせました。ほどなくコールドパーマが世界的に流行となり、シローにおいてもお客様の99.9%がパーマという状態であったといいます。そしてもう一つ!繁盛の要因はシローだけの特別なカット技法にもありました。それがフランスの修行から持ち帰った特殊なレザー(カミソリ)を活用した〝スカルプチャーカット〟でした。

スカルプチャー【Sculpture=彫刻】のようなカットと命名されたこの技法は、直線的なカットラインをつくらず、あたかもレザーで筆の穂先をつくるような、なめらかな面を生み出します。硬く広がりやすい日本人の髪質に、このスカルプチャーカットはまさにうってつけ!柔らかなニュアンスを与えることができるようになったのです。 この新しい技法を学ぶため、全国の理美容師のみな様から講習会の依頼が殺到し、またヘアコンテストの審査員なども歴任することとなりました。さらに日本の各地から修行にくる若者たちで溢れ、シローの寮では足の踏み場もないほどの過密状態で、廊下でもいいからと面接をする前から布団を持参して門をたたくツワモノもいたそうです💦。

1992年 JR東京駅名店街(当時)にHANAKO店をオープン。同時に渋谷店を閉店し、シロー銀座店をGINZA CIRO 本店としてリニューアルいたしました。2003年 東京駅施設のリニューアルにともないHANAKOを現在のエリアに移設。さらに2013年のグランルーフフロント誕生を経て現在に至ります。

 

CIROのイズム
 60年余を超えて、目には見えないが、しかし確かにそこにある...それは ” 想い”のようなものでもありますが、 CIROには間違いなくスタッフ全員で大切にする”イズム”があるのです。例えばそれは、後輩の練習に先輩が付き添うときに、例えば全員で店内の清掃をするときに、私たちはそこにイズムを活かすように先輩から叩き込まれます。先輩から後輩が仕事を学ぶことで私たちは一人前になります。そして指導してもらった感謝の気持ちを繋げるように、また後輩へと指導を絶やすことなく続けていきます。これは吉田シローが創業時から大切にしてきたことであり、曰く”美容の本質は単に技術ではなく、人を導くことです” と教わるのです。それができたときこそ、お客様の”美容”に寄り添うことができ、厚い信頼を頂き、末長いご愛顧を頂ける美容師に成長すると教わります。
CIROのイズム、それは一言で語れるものではなく、しかしCIROのスタッフとして必ず私たちの中に育つものだと確信しています。もしもCIROイズムを文章に起こすならば何万ページにもなるのかもしれません。ですが私たちはその代わりに、この言葉で理解します。『今日も一日、楽しくベストを尽くす!』...御年96歳になるヨシダ・シローみずからの美容人生で、一貫して大切にしてきた姿勢をこの言葉で弟子たちに託すのです。
 今日も私たちCIROの現役スタッフは、朝礼でこの『今日も一日、楽しくベストをつくしましょう!』を全員で唱和し、そして本日のお客様を心からお迎えするのです。

(筆: 代表取締役 吉田 繁)